醸す森アート
プロジェクト

CUBE?

作者 JISHAQMEN 杉浦一志
監修 Design Guild Tokyo

初めての場所に対峙する時、
頭に描いてきた心象と実像が重なり合う。
その瞬間の可視化。
松之山の景観棚田を彷彿する水盤、
そこに映る空と実在する空に挟まれて佇む物体をどう捉えるか。
水の上に鎮座する三角屋根? もしくはフレームの立方体?
直面した事実を逆算的に乖離させ、イメージに近づける装置。
現実と虚構の狭間に浮遊するキューブ。

【作品の楽しみ方】

  • 作品を鑑賞しよう。青々と輝く日中、赤く染まる夕日、時間とともに変化する空や雲、黒倉の景色と一緒に作品に浸ろう。
  • 作品を写真に撮ろう。写真に写すと景色に浮かぶキューブの不思議な画が完成します。そこは事実と虚構が交錯する不思議な世界。
  • 作品と写真に写ろう。浮遊するリトルキューブに乗って作品と一緒に写真を撮りましょう。あなたも狭間の世界の住人に。

花扇風機 / 果物網

八木 恵梨 Eri Yagi

この作品は、私が幼少を過ごした沖縄県宮古島の動植物や文化をスケッチし、ダイアグラムのように再構成するといった試みを行う『Island of collage』というシリーズの作品です。断片的なイメージを繋ぎ合わせ、一望することで、それまで隠されていた物語を浮かび上がらせたいと考え制作しました。
「花扇風機」は海風や台風に吹かれながらも、たくましく咲き誇り散っていく花々を描いたものです。
「果物網」は色彩に目が引かれがちなトロピカルフルーツの形に着目し、鋳造した金属のチャームのような表現で描き、幾何学的な網目に配置することで形のリズムを感じてもらえるように演出しています。

八木 恵梨 Eri Yagi

1994年、沖縄県宮古島に生まれる。
2017に私立武蔵野美術大学造形学部油画科を卒業後、
同年東京藝術大学大学院油画技法・材料第一研究室に入学し2019年に修了。
2019年から現在まで、東京藝術大学大学院博士後期課程に在籍。
これまで個人的な妄想や幻を科学のスケッチに似た手法で記録し、他者との共有を図ってきた。
近年では培ってきた作画表現を応用し、いくつかのコミッションワークを手がけている。

【設置場所】醸す森スイート

うかぶ・溜・緑野・翠(左から)

遠藤 萌

うかぶ
海の向こうにある島の稜線を長い時間眺めていると、自分と世界との境界が曖昧になっていく。
私の存在も海に浮かぶ島々も、ただそこにたゆたうだけである。


樹林をかきわけて山道を進むと、急に視界が開け、とうとうと水が溜まる姿が見えた。

緑野
平野は幼い頃から見続けた景色。
開けた土地は心を解き、細部に在る生命の蠢きに静かな熱量を感じる。


山は刻々と姿を変え、形も色彩も移ろいでゆく。山が翠である瞬間を版木を介して描き留める。

遠藤 萌 Megumi Endo

1988年 千葉県出身
2016年 武蔵野美術大学油絵学科版画専攻卒業

[主な展示歴]
2018~2022年 遠藤 萌 個展 /JINEN Gallery
2019年 3/4㎡展(ROADCAST × SERENDIOUS)/ SHIBUYA TSUTAYA 7F
2017年 868788 展/The Artcomplex Center of Tokyo
2016年 版は異なもの味なもの 弐 /The Artcomplex Center of Tokyo
2016年 EXIST Vol.8/JINEN Gallery

【設置場所】スタンダードダブル

Kara / 空(から)シリーズ
無題の国道13号線

武谷 大介

「無代の国道13号線」はkara / 空(から)シリーズの油彩作品である。
kara / 空(から)シリーズの油彩作品は画面の90%以上が占める空(雲などを含まない)の抽象表現であるが画面下の山々は具象的に描かれている。
遠景体とベーネット・ニューマン的な抽象画であるが、作品に近づくとそれが具象画であることがわかる。
鑑賞者の絵画鑑賞における距離感を遊んだインタラクティブな作品である。

武谷 大介  Daisuke Takeya

トロントー東京を拠点とするアーティストであり、時にキュレーター、コレクター、アート教育者コミュニティ代弁者。
現代社会の成り立ちと妥当性の検証を制作動機としその二元性について作品を制作。

[主な展示会]
カナダ現代美術館(トロント)
国際交流基金トロント日本文化センター
スコティアバンクニュイブランシュ(トロント)
SVAギャラリー(ニューヨーク)
ワーグナー大学ギャラリー(ニューヨーク)
重慶長江現代美術館(中国)

遠足プロジェクト及び遠足プロジェクトアジア、POWER TO THE PEOPLE、福島のアリス、大地プロジェクト
Multi Layered surfacesの代表兼キュレーター

著書に「こどもの絵」(一莖書房、2005)
2018 山形ビエンナーレ参加
第一回Responding:国際パフォーマンス・アート・フェスティバル及びシンポジウムの総合ディレクター

【設置場所】スタンダードツイン

額装 / 夢想
アンティーク額装の塗装仕上げ、ミラー

Design Guild Tokyo

とあるプロジェクトで建て替えのために取り壊されることになった古びた画家のアトリエ。 そこには、作品の入っていない年代も装飾もバラバラな大量の額が残されていた。 インテリア、建築のプロジェクトではスクラップ&ビルドが当たり前になっているが、その中身のない大量の額 から発せられる不思議な存在感に惹かれ、廃棄するには忍びず、何に使うでもなく持ち帰り保管していた。 本来、作品である絵画を引き立て、装飾するための額縁を本作では中身のない状態で多重に壁面に構成している。 その古びた額の表面を単色で塗り潰す事で時間を封印し、新たな無機的な存在とし、一部鏡貼りとすることで 外の景色の緑や鑑賞者自身を取り込み、額の中にあるべき絵画の不在との対比を構成要素としている。 鑑賞者が額に入り込んだり、視点を変えることで様々な表情の変化を楽しむ狙いもあり、自由に鑑賞し、体感して もらえる作品となっている。

Design Guild Tokyo デザイン ギルド トーキョー

多ジャンルクリエイター集合として、2007年より活動。
様々なジャンルのデザイナー、クリエイターの参加するプラットフォームとして、個でも組織でもない新しい働き方や活動の在り方を実践している。
本施設『醸す森』では、屋外ART作品の『CUBE?』も所属メンバーのJISHAQMENの作品である。
又、この作品についてはクラウドファンディングを活用した製作資金集めから参画し、プロジェクトを実現させている。

【設置場所】エコノミーツインA